Case Study
導入事例
汎用ホストベースのシステムからWebへの移行
汎用機(ホスト)で行っていた業務を、Webシステムに移行。
使いやすいWebベースのGUIシステムの構築に成功。
問題点と課題
ホストベースのシステムを拡張し、業務に追従させることはコスト面、メンテナンス性などが課題となってくる。修理品の管理等を、ホストベースのシステムで行っていた同社において、これらの課題をどう解決していくかが問題となっていた。
ホストベースのシステムを機能拡張することは今後のメンテナンス等を考慮すると現実的ではなく、機能の拡張が行いやすいASP(Active Server Page)によるWebシステムを別途構築することとし、これを運用することとした。 ASPによるシステムの構築は社内のASPを使うことができる担当者の手により行われることとなった。通常業務をこなしながらシステム稼働に至ったが、構築したシステムをメンテナンスしていくことは担当者にとって大きな負担であり、また、プログラミング言語で構築した為、システムが属人化してしまうのではないかという懸念があった。
ASP等の言語でWebシステムを作成した場合、機能的な制約が少なく、実現性では問題がないのかもしれない。しかしながら、その機能の実現にかかる人的コストを無視した場合の話である。現場の要望を作りこむことにASPの担当者は限界を感じていた。
また、現在のシステム構成では、ホストからのデータをASPで作ったシステムに定期的(1日5回)にバッチ取り込みしていたため、最新データを扱うには同期完了を待たねばならず、リアルタイム性も問題になっていた。 これは、ホストシステムのデータをASP側で直接ハンドリングする手段がなかったためである。
旧システム構成
「ホスト・サービスシステム」が置き換え対象のシステム。
「イントラ・市販修理」がASPで作られたシステム。
そこで同社松戸氏は、融通のきかないホストシステムの利用を廃止し、ASPで問題となっていた属人化やメンテナンス性を克服したシステムの構築を行う為の検討を開始した。
新たに構築するので、ユーザメリットも魅力的なものでなければならない。「操作の簡単さ」「品質の向上」「業務の効率化」という、わかりやすい目的を挙げてユーザの説明と理解を確認し開発のプラットフォームの検討に入った。
松戸氏はLotus123、Excel、Accessを得意としていた為、これらの技術が生かせる開発手法を採用したいと考えていた。すでに存在を知っていたXCuteが第一候補となり、採用が決定したのは極めて自然な流れであった。
松戸 氏
XCuteシステムは、使い慣れているExcelでアプリケーションの設計ができることが一番のメリットです。また、SQL文をEXCELのセルに直接埋め込めることができるため、さらに応用範囲が広がります。
私にとっては久しぶりの開発業務でしたが、マイクロラボさんの技術的なサポートにも助けられ、使いやすく、メンテナンス性の高いシステムを作り込めたと考えています。
XCuteでの開発の一番のメリットは、Excelをインターフェースとして利用している為、お客様からの要望や利用者の要望を、「見える化」する事ができ、より使いやすいシステムへとスピーディに対応、改善が行える事だと思います。
また、Excelを利用している為、不慣れな人でも比較的取組やすいのもメリットの一つだと思います。
吉野 氏
解決方法
こうして、TRM-K(久我山版TRM)システムの開発が開始された。TRM-Kとは(TOHTSUKO Regeneration Management System for KUGAYAMA Branch)の略である。
もともと稼働していたホストシステムはキャラクターベースのUIである。これをWebシステムに移行することは、現場において操作性に大きな変更を伴う事であり、多少なりとも摩擦は生じる。この摩擦を解消するために、新たに置き換わるUI部分は、システムが完成した後にレビューするのではなく、システム構築を行う前に設計をある程度済ませておき、利用ユーザに事前レビューを済ませておくこととした。
通常、良く使われる開発手法であるが、一般的なコーディング言語の場合、ワープロなどのソフトを使って画面構成を作成しレビューを行う。その画面仕様を基にプログラムを作っていくこととなる。このワープロ等で作る画面案をExcelで作れば、そのままXCuteでのシステム開発に転用出来る為、画面を先につくるか、後につくるかの違いでしかない。「ExcelがそのままWeb画面になるXCuteを使うこととしたので、ユーザレビューの為の画面をExcelで作ることは無駄とならず効率的であった。」と松戸氏は語る。
作った画面を定期的にレビューし、現場の意見を反映。 この作業を繰り返し行うことにより、XCuteにそのまま使えるレベルの画面仕様を固めることができた。
また、松戸氏は現場の混乱を避け、システム置き換えによるメリットをわかりやすくする為、以下の方針を定め、ユーザに説明を行った。
システム構成
- ホストベースのシステムをWEBベースのXCuteシステムへ移行
- ブラウザですべての操作が可能なWEBアプリケーション
- WEBブラウザによるGUI操作
- 使いやすく、入力ミスを低減
業務フローの維持
- 基本的な業務フロー、書類などを変更せずに新システムに移行
- ASPでつくられた、市販修理、通信品質、販売支援等からの集計を従来通り利用可能。
対応業務
- 修理受付 ~ 診断・見積~ 修理完了~ 売上・請求・納品に対応する
- 各種集計 ASPで利用可能な各種集計、定型的な集計処理、新規の集計への対応
修理データ・各種マスター
- すべての修理データ、各種マスターは、新システムに持つ。これによりデータをリアルタイムに利用可能。
上記のように、新しいシステムへ移行することのメリットを明確にした為、ユーザからの理解と期待を得た形で、本システム構築が開始された。開発は松戸氏、吉野氏の2名体制で行うこととした。
当初予定になかった新機能の追加等は、「課題管理」を行い、問題があれば即解決といった方法で進められた。
テストリリースを重ねつつ、約1年の時間をかけてシステムの構築が完了した。「ユーザインターフェイスを作ってから、その動きを設計できるXCuteは、とても使いやすかった。」と、吉野氏は語る。
新システム構成
「ホスト・サービスシステム」が破線になり廃止となった。
新たに「TRM-K 久我山版TRM」が追加された。
構築システム
今回作成されたTRM-Kシステムを紹介いたします。画面が多数あるため、ここではその一部を紹介します。
メニュー画面
閲覧できる画面を制限するため、ログインID/パスワードにより制御を行っています。この画面は、すべての権限を持ったユーザによるものです。 左側にある「全修理検索」は検索に特化し、お客様からの問い合わせに対して迅速に対応できるよう、受付番号や機種名等でクイックに検索できるように設けられたものです。クリック数の削減、使いやすさの向上につながっています。
修理明細受付入力画面
修理受付の明細入力を行う画面であるが、随所に細かな工夫が凝らされています。GUIベースであると、クイックな操作ができない印象があるが、本システムにおいては、ポップアップウインドウなどに、コードの頭だけいれれば検索できるなど、担当者がすでにコードを覚えてしまっている場合などに迅速に情報を探し出せるよう配慮されています。
診断・修理明細情報入力画面
診断情報、修理情報を1画面で入力閲覧できる画面です。
本画面は多機能であるため、画面の中に解説を入れておいた。画像をクリックの上、参照願います。本業務を知らなくても、縦に見ていけば、どのようなことが行われているのか理解しやすい画面構成です。
見積書画面
修理一覧検索画面
運送会社別送り状出力画面
機種毎見積金額実績画面
マスター・メンテナンス、ログ参照画面
マスターメンテナンス、ログ参照を管理者向け機能として提供しています。
一括で入れ替えたい要求のあるマスターは、Excelファイルでのアップロード、ダウンロードに対応しています。
また、1レコード単位で追加、変更Web画面も提供しています。
顧客マスター 新規登録・編集・削除画面
システム化の成果とこれから
今回のシステム構築によって、同社は以下のメリット、経験を得た。
ホストシステムの利用を廃止することにより、XCuteによるメンテナンス性の高いシステムを構築することができた。
ホストシステムからのデータの受け渡しを行う必要がないように、新たにデータベースが新設された為、XCuteも、ASPで作られた既存システムも同一のDBを参照できるようになった。これにより、データベースのメンテナンス性、リアルタイム性の問題が一挙に解決した。
稼働を始めたシステムがユーザフレンドリーであったため、ユーザ側から積極的な意見が寄せられるようになった。XCuteの開発効率の高さから、ユーザの意見を吸収しやすく、多数のユーザの意見を実現することができた。 当初計画していた以上のシステムが構築でき、現在も日々進化中である。機種毎修理価格実績画面(スクショ)は、ユーザからの意見で後になって追加された画面である。
このように開発側と利用者側で積極的に意見交換がなされるようになり、大幅な業務効率化につながっている。
融通のきかなくなってきたレガシーなホストシステムを廃止し、Webによるシステムに移行した同社であるが、ホストシステムに慣れている者にとって、Webアプリは、操作がわずらわしく感じるものであったかもしれない。
Webアプリ(GUI)の良さと、キャラクターベース(CUI)の良さを構築画面に反映させて新たなシステムへの移行を成功させた同社の事例は、今後も発生していくであろう、レガシーシステムから新システムへの移行を検討している企業にとって興味深いものではないだろうか。
導入企業様紹介
東通工業株式会社
私たちは、IPネットワークを含む公衆通信網やプライベートネットワークに接続される各種通信機器の修理を主な事業としております。
お客様の新しい価値創造のお役に立てます様に、更に努力を重ねて参りますのでいっそうのご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
東通工業(株)の経営方針
お客様のニーズと期待にそったサービスの提供を通して、「社会」と「会社」と「個人」の持続的発展をめざします。
私たちの行動指針
- お客様に喜んでいただけるよう、仕事に工夫をこらします。
- 新たな事業をささえる知識、技術を向上させます。
- 働きやすい職場環境を築き上げます。
社名 | 東通工業株式会社 (法人番号:9010101002670) |
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所在地 |
《本社》
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代表者 | 代表取締役社長 冨髙 健 |
役員 |
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資本金 | 5,000万円 |
株主 | 岩崎通信機株式会社(100%) |
従業員数 | 48名(社員37名、パ-ト他11名) |
その他 | 古物商許可証の番号 東京都公安委員会 第308830106255号 |